
2025年の春、僕ら夫婦が人生でやりたいと思っていたことの一つが叶った。
「船で旅をすること」、そして「船で外国へ行くこと」。それがようやく実現した。
乗ったのは、英国はキュナード社のクルーズ船、クイーンエリザベス号。
このブログは、船内で鉛筆とノートで書いていた日記をもとにしている。旅の記録であり、個人的な手記でもある。
今回の旅には、愛用している富士フイルムのX-T4を持っていた。このカメラで撮った写真も紹介していく。
3日目 広島寄港

朝起きると、窓の外にたくさんの島々が見えた。
そう、瀬戸内海に入ったのだ。朝靄が幻想的で、とても雰囲気があった。広島への期待も高まる。
広島は、尾道や竹原を訪れたことはあったが、広島市は実は初上陸。
午前9時、広島港に入港、早速兼ねてから行ってみたかった宮島に行くためフェリー乗り場へ向かう。
フェリー代金が思いのほか高額で少々ひるんでしまったが、こんなところでケチるより経験を買った方がいい、少なくとも旅行中は。

宮島、というかこの瀬戸内海域は、どことなく青い空気と海の色のせいか淡く美しい景色が広がっていた。平清盛も、こんな美しいところに荘厳な神社を建てようと思ったのも納得だ。
奈良公園と同様に人になれた鹿も多く、観光客の甘い食べ物の入ったバッグを襲おうとしている(笑)姿もよくみられた。


その後は、広島市内に戻り、クルーズに戻る前に時間があれば行きたかった原爆ドームへ。月並みかもしれないが、日本人であれば一度は見ておきたかったからだ。
ドームの周りの新緑の色が瑞々しすぎて、なんだか悲しい気分になった。青臭い意見かもしれないが、世界はこれだけ美しいのに、どうして人の心はこんなにも汚れていて愚かな道へと進んでしまうのかと。
時間の都合で、資料館は見ることができなかったが、次回はきちんと時間を取って勉強しに訪れたい。

広島を出港する際は、多くの地元の方々が見送ってくれた。以前から感じていたのだが、どうして船での別れはこんなにも寂しさがあるんだろう。以前、自分が見送る側でクルーズを見に行った時も、出港の時はなぜか涙が込み上げてしまった。なぜ、お互い全く知らない人同士の別れなのに、こんなにも悲しいのだろう。
一つ言えることは、飛行機や電車では味わえない、船での別れに、昔の人々の思いを馳せた。

一日中歩き回ったので、どっと疲れた。リド(ビュッフェレストラン)で食事をとり早めに部屋に戻った。
そういえば、なんだか船の洋食に少し飽きがき始めている(笑)美味しいのは美味しいのだけど、おにぎりや味噌汁も食べたくなる。やはり、自分は日本人ということを悟った。
今日はここまで。

写真作家。元映像製作者、ベースプレイヤー、メンズファッションスタイリストとしての経歴も持つ。2025年、シンガポールをスナップした一作目の写真集「HOME」リリース。